離婚後の子供との面会交流について法整備がないとして、子供と会うことができない親たちが国を提訴したというニュースがありました。

 

>>親子面会交流 義務付け求め国提訴 離婚などで別居の父母(毎日新聞)

 

いろんなケースがあると思いますが、母親が子供を連れて家を出て、その後、母親が拒否するため父親と子供の面会交流が実現しないという例が多いのかな…という印象です。

面会交流を拒否したいって考えてるお母さん、結構いるみたいですね。
断固拒否というわけでなくても、なるべく会わせたくないとか。

 

わたし自身も夫と別居中という立場で、面会交流についてはいろいろと思うところがあるので、自分の経験と感じたことを書いてみました。

 

自由に面会交流できて夫が痛い目にあってないのはおかしい!?

 

現在わたしは夫と別居中です。
別居してもう数年たちます。

わたしが子供たちを連れて出て行く形でしたが、もともと住んでいた家の近くに引っ越したので、子供たちはほぼ毎週パパと会ってるし、泊まることもあります。

特に取り決めはせずに、基本的に子供たちの好きなようにさせています。

子どもの誕生日にはパパも招いて一緒にケーキを食べるし、運動会や発表会もパパと一緒に見に行きます。
内心あまり穏やかではないけど、子供たちの手前、普通にふるまうように努力しています。

 

 

わたしの友達はこの様子を見て
「離婚の原因を作ったのは向こうなのに、好きなだけ子供たちに会えて、子供たちに慕われて、ぜんぜん痛い目にあってないのはおかしんじゃない?」
と言います。

この友達は、旦那さんの不倫が原因で離婚を考えているみたい。

 

離婚した後、夫が不倫相手と幸せになって、なおかつ子供たちとも自由に会えて、何も痛い目に合わないなんていうのはありえない!
自分はさんざん苦しんできた。
だから夫にも死ぬほどの苦しみを味わわせて、不倫したことを後悔させてやりたい!

という気持ちがあるようです。

 

まあ、この気持ちはわからないでもないですけどね。

でもね、ちょっとちがうかな?っていう気もするんです。

目からウロコ。『離婚で壊れる子どもたち』を読んで

 

わたしが夫と別居するって決めたのは、夫と一緒に暮らすのがつらかったから。
自分がラクになりたかったから別居したわけで、夫を苦しめるために別居したわけじゃないんです。

 

それに、別居や離婚について悩んでいたとき一番心配だったのは子供たちのこと。

親が離婚したり別居したりすることで、子供につらい思いをさせてしまわないだろうか…
不自由のない生活をさせてやれるだろうかっていうこともそうだけど、心の面でも傷つけてしまわないだろうか…って心配でした。

 

とはいえ、母親が苦しみに耐えながら生活しているのは子供にとってもよくないはず。
わたしが気ラクに楽しく暮らしている方が子供も幸せになれるはず!
だから別居した方がいい!

でもでも、やっぱり親が離婚したり別居したりするのって子供は傷つくの…?

って悩みすぎてどうすればいいのかわからなくなって・・・

そこで、当時読んだのがこの本です。

『離婚で壊れる子どもたち』

 

棚橋一代さんという臨床心理士の先生が書かれた本です。

結構読み込んでるでしょ?(^-^;

 

この本との出会いはわたしにとってかなり大きなものでした。
目からウロコが何枚もはがれ落ちました。

 

早い段階からの面会交流が子供を離婚の衝撃から守る!?

 

正直、最初は読むのに少し勇気が要りましたよ。
だってタイトルが「離婚で壊れる子どもたち」ですから。

やっぱり離婚で壊れてしまうの・・・?
子供たちのためにわたしはガマンするしかないの?って。

 

でも、この本はそういう内容の本ではありませんでした。

ひとことで言うと・・・

子どもの視点から「よりよい離婚」を考える

という感じの内容です。

 

本の内容を少し抜粋して紹介しますね。

私は、1984年から1985年にかけてカリフォルニア州バークレー近郊のエルセリットという小さな町に滞在しました。その際に、子どもを通わせていた学校の懇談会で、仲むつまじそうに話をしているカップルが、実は別れた元夫婦であることを知って何度も驚くという経験をしました。
(中略)
米国人は決して日本人が思うほどドライなわけではなくて、別れた相手に対する恨みや憎しみといったネガティブな感情を抱えつつも、子ども幸せのために必死で頑張っているという姿でした。

 

これは驚きますよね。
離婚した夫婦が、子どもの学校の懇談会に二人で参加して、仲良くおしゃべりしてるなんて。
しかも、それが子どものために必死で頑張っている姿だなんて。

ここで目からウロコが1枚。

わたしは別居後、子どもたちを必死で守らなければ!って思ってたけど、それはがんばって生活費や学費を稼がなければ!っていうことだけであって、がんばって夫と協力するなんていう発想はありませんでした。

「離婚の悪影響が少なかった事例」の場合には、調停離婚の事例ではあるが、別居直後から面会交流が自発的に始められていた。
実態を把握することが難しいが、協議離婚をした人たちの中には、別居後の比較的早い段階から、別居親と子どもとの面会交流を始めている人たちもいるであろう。
そのことは、子どもを離婚の衝撃から守る上で、とても賢明なことであると考える。

これも目からウロコでした。

でも、考えてみたらそうなんですよね。
急にパパと離れて暮らすことになって、長い間会えないなんて。

わたしは経済的な心配ばかりしてたけど、子どもにとっては「離婚の衝撃」っていうのは貧困に陥るかもしれないことではなくて「急にパパと会えなくなること」なんですよね。

 

 

実はわたし、別居後どこに住もうかな~って考えてるとき、いっそのこと誰も知り合いがいない遠い土地で心機一転新しい生活を始めるのも悪くないなぁ、なんて考えていたんです。

その頃は夫の顔を見るのもイヤなくらいの状態だったので、遠く離れてしまえば会わなくて済むな…とか思ってました。

でも、この本を読んで考えを改めました。

母親たちが面会交流を拒否する理由

 

ネットで調べてみると、母親たちが面会交流を拒否する理由として次のようなものがありました。

  • 夫を苦しめたい
  • 自分が夫に会いたくない
  • 自分が夫からDVやモラハラを受けていた
  • 自分または夫が再婚した
  • 面会交流の際に子供に自分の悪口を吹き込む
  • 面会交流の際に子供を連れ去られるおそれがある
  • 子供が会うことを嫌がっている
  • 夫が子供を虐待していた
  • 夫が養育費を支払わない
  • 夫が子供を通じてお金を無心してくる

 

いろんな事情がありますよね。
最後のやつとか、かなりサイテーです。

もちろん、父親が子供を虐待していたとか、どう考えても面会交流させるべきではないっていうケースもあると思います。

 

でも、ただ単に夫を苦しめたいから面会交流を拒否するっていうのはどうでしょう?

冒頭で紹介したわたしの友達の例みたいに、夫への復讐や制裁のために子供に会わせないっていう発想をしてしまう人は結構いるんじゃないでしょうか。

子供は父親に会いたいかもしれないのに。

 

これって子供を復讐の道具にしてることになるんだけど、自分が苦しくていっぱいいっぱいの状態だとそのことに気がつけないんですよね。

 

母親たちの間違った思い込み「片親疎外」とは

 

では、子供が父親に会うのを嫌がってるという場合は?

普通に考えると、子供が嫌がっているなら面会させない方がいいということになりますよね。

でも、この場合もちょっと注意が必要なんです。

 

たとえば、

「パパは好きな女の人ができて、あなたたちよりもその女の人の方が大事だから出て行ったのよ」
「パパはあなたたちを捨てたのよ」

なんてことを子供に繰り返し話して聞かせていたら?

 

 

母親の話を素直に受け止めて、父親のことを大嫌いになってしまうかもしれません。

あるいは、本当は父親に会いたい気持ちがあっても、「パパはママをいじめた人なのに、パパに会いたいなんて言ったらママが悲しむだろうな」って気を遣ったり。

「パパに捨てられた上にママからも見捨てられたらどうしよう」という気持ちから「会いたくない」って言うケースもあるでしょうね。

 

こういうのを片親引き離し症候群とか、片親疎外っていうらしいです。

 

『離婚で壊れる子どもたち』でも、片親疎外について厳しく批判しています。

自分の前配偶者に対する思いと、子供の父親に対する思いが、別であるかもしれないということへのイマジネーションが微塵も働かないほどに、親子の境界がなくなってしまっている

子供の思いを自分の思いで支配し、子供を親の思いに服従させてしまう行為である。
これは心理的虐待に該当する行為であり…

子供の前で離婚した元夫の悪口を言ってしまう人、結構多いと思うんですが、
「えっ!?自分のやってることは心理的虐待だったの?」
ってビックリしたんじゃないでしょうか。

 

わたしも含めてなんだけど、特に母親は「自分の思い=子供の思い」みたいに考えてしまうことがあるんですよね。
悪意なく、無意識のうちにやってしまうんです。

 

 

ずっと一生懸命子育てしてきて、子供と長い時間一緒に過ごして、子供のことを思いすぎた結果、「自分=子供」になっていたり、子供を自分の所有物みたいに扱ってしまったり。

子供を自分の味方につけたい、みたいな思いもあるかもしれません。

 

こう書くとすごくひどい母親みたいだけど、本当に悪意なく、無意識にやってしまうんですよね。

だから余計にタチが悪いっていう面もありますが。。。

 

でも、基本的には子供のことをすっごく大切に思っているので、
「それはちがうよ。それは子供を傷つけてるんだよ」と指摘されたら、ハッと気が付ける人が多いと思うんです。

子供のことに関してだけは協力し合える関係を

 

理不尽に面会交流を拒否している母親の側が、「これはやってはいけないことなんだ」って気がつくのも大事なんですが、父親の側も自分が会いたいかどうかだけでなく「子供の健全な成長」のために母親と協力して子供に関わり続けるという視点を持ってほしいなと思います。

 

つまり、こういうことは子供がかわいそうだからやめてほしいな…ってことです。

  • 面会交流の際に、子供の前で母親の悪口を言う
  • 再婚したから子供と会わない
  • 自分の主張を通すために兵糧攻めにする(養育費や婚姻費用を支払わない)

 

別居したって離婚したって、どこまで行っても父親と母親であることには変わりがないんです。

もう全面的に信頼しあえる関係ではないにしても、子供のことに関しては協力する、少なくともその部分だけは信頼しあうという関係を、お互いが努力して築いていかなきゃいけないですよね。

建設的な話し合いができない夫婦にサポートを

 

とはいえ、最悪な関係で別れることになった夫婦は、これから子供にこんな風に関わっていきましょうという建設的な話し合いが不可能な場合も多いですよね。

それに離婚のゴタゴタの中にいるときって、自分のことで精一杯なんです。

 

子供のことを心配していないわけではないけど、「父親なんていなくても大丈夫」「わたしがしっかり育てていくんだ」みたいに考えてしまったり。

やらなきゃいけないこと、考えなきゃいけないことが山積みで、子供の気持ちへの配慮が後回しになってしまうことも…。

 

 

その点、『離婚で壊れる子どもたち』で紹介されていたアメリカのシステムはいいなと思いました。

アメリカでは、協議離婚(調停や裁判をせず話し合いで離婚する場合)でも、離婚後の子供の養育計画を取り決めて裁判所に届け出ないと離婚が認められないそうです。

養育計画についてどうしても合意に達することができない場合は、家庭裁判所の離婚調停が義務付けられています。

 

 

離婚調停を受ける前には必ずオリエンテーションに参加しなければならないんですが、そのオリエンテーションの内容がすばらしいんです!

 

一部を紹介すると、

  • 両親の別居に際して子供はどんなこと感じるか
  • 両親が別居した後に子供の適応の善し悪しに影響を与える要因は何か
  • 別居に際して親として子供にすることのできる最善のことは何であるか
  • それぞれの親が他方の親と子供との関係に対して協力的であることの大切さについて

ね?すばらしいでしょ?

 

しかも、このオリエンテーションで学んだことをふまえて、次回までに自分が子供のためにベストと思う養育計画を考えてくるという宿題があるんですって。

憎しみあって争ってる夫婦が、正しい知識を身につけた上で、「子供のためにベストな養育計画」という建設的な課題に取り組む。

 

こんな風にサポートしてくれるシステムがあったら、子供はもちろん父親も母親も救われますよね。

 

面会交流の大切さをみんな知らないだけ

 

冒頭でふれたニュースのように、理不尽に面会交流を拒否するのを許さないよう、法整備をすることも確かに大切です。

でも、母親がぜんぜん納得できてないまま「はい、面会させました。これでいいでしょ?」みたいな雰囲気で会わせることになったら、父親と母親の間で板ばさみになる子供はやっぱりつらいと思うんです。

面会交流は子供のためのものなのに。

 

なので、法整備と同時に、先ほど紹介したアメリカのシステムみたいに離婚に直面した夫婦に気付きを与えて、「子供のためにベストな養育計画」づくりをサポートしていくような仕組みができればいいのになあ…と思うんですが、どうでしょう?

あと、子供に対するサポートもあればいいかも。
親に遠慮したり空気を読んだりして、自分の気持ちを言えない子供も多いだろうし。

 

みんな知らないだけなんです。

「子供のためにこういうことはやっちゃダメなんですよ」とか、
「子供のためにあなたたちがやるべきことはコレですよ」とか、

教えてもらうだけで、ずっと良い方向に向かうと思うんですけどねえ。。。